相生あおはの書庫

ねこにうもれたい。

【冬の北海道】豪雪旅行記 Part2

※この記事は オモゐデ漁船アドベントカレンダー2021 16日目の記事です

 

こんにちは。相生あおはです。引き続き、豪雪旅行記となります。

 

~おしながき~

Part1: 仙台を離れ北海道に上陸

Part2: 豪雪でまさかの旅程崩壊  ←イマココ

Part3: 秘境駅その1~東六線駅 探訪+α~

Part4: 秘境駅その2~北星駅 探訪+α~

Part5: 災害級の豪雪が過ぎて

 

まず本記事の目次を載せておきます。お好きなところ(?)からどうぞ。

0. 前回のあらすじ

一ヵ月後に廃止となる秘境駅に行くべく北の大地に上陸するも、記録的豪雪で交通網は大混乱!目的を達成するには今日中に宿がある旭川に到達せねばならないが、手段は完全に断たれてしまい、諦めざるを得ないように思えた!しかし…

 

1. 2/24 道民さえも避ける迂回ルートに全てを賭ける

観光案内所で高速バスの全滅を聞いたとき、絶望のあまりふとこんな冗談が出たんです。

私「旭川陸の孤島ですか…」

実はこの冗談がまさかの決定打となります。私がそう発すると、観光案内所の方は何かを調べ始めました。そしておもむろに口を開き、

観光案内所の方「一応、富良野からのバスは動いているみたいですが…」

私「富良野まで出れれば何とか、と…」

観「(今札幌から出る)富良野までのバスだと…(接続が)ちょっと間に合わなそうですね…」

(ここで、北海道の地理に明るくない方のために、この話とかで出てくる地名・鉄路と位置関係を記した簡略図を置きます。)

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北海道簡略図

そこで私は、新得経由で富良野に行けることを思い出しました。そして、富良野から旭川も、バスがあるならきっと鉄道もあるに違いない。ダメ元で乗換案内を掛けたところ、札幌から新得、東鹿越、富良野と乗り継げば、全て鉄路で旭川まで行けることが発覚したんです。点と線が旭川まで繋がった瞬間でした。
もう嬉しくなっちゃって、その乗換案内の画面を見せ「これで行こうと思います、ありがとうございます!」と言うと、観光案内所の方は心配そうな表情でも「お気を付けて!」と仰ってくださいました。

 

このルートの何が大変かというと、通常、札幌から旭川までは乗り換えなしで一時間半なのですが、乗り換え回数が増える上に所要時間が4倍の6時間かかるということです。それに、北海道一ともいえる大動脈こと札幌-旭川がダウンする程の豪雪なので、貧弱な新得-旭川もいつダウンするか分からない状況なのです。

事実、道民の某氏も「新得とかよくわからないところで足止めされるなら帯広とかそっちの観光に切り替えた方がいい」と制止をしてくるレベルでした。

しかし私は雨雲レーダーと積雪情報に目を光らせ、猫特有の勘で勝算があると思ったわけです。

と言うわけで作戦決行。もしダメになっても発動できるプランBこと襟裳岬の行程は、今回の旅程を組む際の草案にあったため時刻を完全に把握しているので、どちらにせよ渡道は無駄にならないという完璧な計画になりました。

では直ぐ向かおう!…とはいかないのが北海道の鉄道事情。次の列車までなんと2時間以上あります。2時間あったら小樽でビールを飲めますが、何が起こってもすぐ対応できるようにしたいと思い、札幌で我慢することに。

 

ただ待ちぼうけも勿体ないので駅構内を散策していると、北海道牛乳を使ったドリンクを発見。

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カフェ専門学校の学生さん考案ドリンク

購入窓口に行き買おうとするも値札が見当たらず、値段を尋ねるとなんと100円。「えっ」と思いながら飲んでるとアンケートの協力をお願いされ、そこに「いくらで飲みたいですか」とあったので、「250円」と買う前に想定していた金額を書きました。きっと学生さんの実習授業の一環なんでしょうが、100円はあまりに安すぎます。教育機関の闇だなぁと自分の大学のことも思い出し、胸が痛くなりました。

2時間以上の時間はそれだけでは潰れなかったので、駅近くでボルテやったり黄色い消火栓を見たり、改札なのかチョコ屋なのか混乱する案内サインを見たり。

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西改札口なのかチョコ屋さんなのか

色調補正を掛けると映える札幌駅を眺めたり。

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実際に見てみると案外普通な札幌駅

6時間も移動するのは想定外だったので、急遽ヨドバシでイヤホンを買ったりもしました。実はそのイヤホンは今でも音ゲーする時とかに使ってたり。思い出の品です。

旭川の宿到着も6時間以上遅れるということなので、宿にその旨を電話したのですが、

私「旭川までの交通手段が軒並みストップしてしまい」

宿「そうですよね~」

私「迂回するので22時を回るかもしれませんが必ず今日中に伺います」

宿「えっ

この会話は今でも忘れられないですね。

 

2. 2/24 旭川に向けていざ出発

さあ、時が来ました。

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北海道簡略図(再掲)

この簡略図を見てもらえると分かる通り、旭川方面と今私が進んでいる新得方面って真逆なんですよ。それなのに目的地が旭川というのがまず面白すぎて。

偶然進行方向右に座ってたのでいい感じで夕陽を眺められたり。次第にテンションがハイになっていくわけです。

まぁ飲むわ。うん。とても旅程崩壊されて危険な迂回ルートを通ってるヤツのする行動じゃないけど、このくらいふざけた方が人生楽しいと思うんです。もし詰んだら「草」で済ませられる自信があったくらい。

 

新得に向かう途中、ハスカップみたいな名前の占冠(シムカップ)駅、数少ないカタカナ駅のトマム駅など、通る予定が無かった駅を車窓から眺めてると旅情が掻き立てられ益々気分が上がります。でも新得に着く前に、本当に旭川に向かうのか、それとも諦めて帯広に妥協しに行くのかの決断をしないといけないわけです。そこで雨雲レーダーと積雪を再度確認しようと開くと。

この時、事態は思ってたより深刻なことを知りました。それでも、車掌さんに相談したところ「旭川までは現在動いております!」と仰ってもらえたので、満を持して新得駅に降り立ったのです。

特急が走り去った新得駅は、降雪の吸音効果もあってか恐ろしく静かでした。でももうここに来たら目指すは旭川。武者震いする気持ちで新得駅を後にしました。

もう完全にラインを超えて何もかもが楽しくなっちゃってます。多分消しゴムが机から落ちるだけで笑うレベル。これから鉄道ではなくバスに乗るんですが、数年前の豪雨被害の代行バスなんだそうで。このバスは途中、狩勝峠(たぶん石狩国十勝国の境の峠)を通るんですが、日中だったら見晴らしが良い景色が望めたそうです。またいつか来ますか。

バスの車窓はというとほとんど真っ暗。ときたま集落を通るんですが、19時半でこの様子。一体ここにはどういう暮らしがあるのだろうかと考え込んだりしました。

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雪深い南富良野町

真っ暗な車窓をぼーっと眺めながら、旅に出る直前に作ってた3曲のミックス確認をさっき買ったイヤホンで行います。それのせいで、その曲を聞くとこの豪雪旅を思い出します。いい思い出です。

そして、代行バスから富良野行き列車に乗り換える、東鹿越駅に着くも。

これから来る富良野行きが最終ミッションではなく、その富良野駅旭川行きに乗らないとミッションクリアとなりません。しかし待てど暮らせど列車が来る気配は無し。

私以外にもたくさん利用者がいるのでここでゲームオーバーということはないにしても、辺りは墨汁を塗ったくった様な漆黒の闇。本当に明かり一つなく流石に心細くなります。

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東鹿越駅待合室

私たちはこの待合室で列車を待ちました。やはり建物の中は暖かいです。でも室内にある温度計を見ると-2℃を示していました。ガチ冬装備は翌日着替える予定だったのでこの時は仙台冬装備の状態。それでも-2℃を暖かく感じてしまったのは限界が来てたということなんでしょうか。

しばらくすると代行バスの運転手さんが駆けてきて、「相当遅れてるからバスの中で待ってていいよ」とのこと。なので荷物を置いて休もうとしましたが、私は今ハイテンション。「記録のチャンス!」と思い、誰もいないホームの上に向かいます。当然当初は来る予定ではありませんでしたが、ここも相当な秘境駅です。ラッキー以外のなにものでもありません。

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ポツンと東鹿越駅

当たり前ですが生まれて初めて見た光景でした。これが駅です。エキナカなんて、NEWDAYSなんて、成城石井なんて、エレベータやエスカレータなんて当然ありません。まるで文明が滅んだ世界のようでした。目の前に唯一伸びる鉄路は雪化粧をしており列車の気配は無く、遠くに見える赤い停止信号は凄く不気味で、闇に吸い込まれるような恐怖さえ感じました。本当にここに列車が来るのか、と思っていると…

降雪の合間から消え入るような、かすかな踏切の音が聞こえてくるんです。音屋的に表現するなら-60~-50dBくらいでしょうか。一瞬、幻聴とか貨物列車かとボケましたが、そんなわけが。間違いなく私たちを迎えに来てくれた列車です。

急いでバスから荷物を回収し、ホームに向かいます。すると私の後に続くように待合室で待ってる方々もホームに上ってきます。ワンマン運転の乗り口を間違え、私は最後に乗り込むことになったんですが、ちゃんと座れて一安心。本当に救世主のようでした

 

途中の駅で、私たち全員の行先を確認してくださり、各方面への接続を確保してくださいました。割合的には7割が旭川、2割が滝川、1割が富良野といった感じだったと思います。

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富良野駅

富良野駅では向かいのホームに旭川行き最終列車が停まっていました。乗り換える時、除雪作業員さんや駅員さん方がお詫びの言葉と共に頭を下げていたのが逆に申し訳なくなってくる気持ちでした。私だけでなくほとんどの方が感謝の言葉をかけていましたが、本当に感謝の限りです。

 

そして無事に、22時5分、定刻より20分ほど遅れ、普段の4倍の時間を掛けて旭川に当日中の到着を果たしました。なんとこれが旭川当日到着の最終便でした。あの時、札幌駅にいた人のうちで当日中に旭川に辿り着けたのは、ほんと何%だったんでしょう。賭けに大勝利した嬉しさと感動が相まってテンションがさらに上がりそうになりましたが、流石に疲労の限界。まずは宿にチェックインして身軽になって…

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旭川ラーメン

祝杯!北地の醤油ラーメンはコッテリとしていました。脂系はあまり得意ではないんですけど、それでも疲れが癒えていくような美味しさでした。

 

その後、楽しくなっちゃったテンションに任せて寝静まった旭川駅前を軽く探索し、宿に戻りました。本当はすぐ寝たかったんですが、それはできません。なぜならこの時点で明日以降乗る路線の運休情報が分かっていたのもあり、予定を綿密に組み直さないと遭難の危険性があるためです。

とりあえず行く先を、廃止になる秘境駅だけに絞れば一日がフリーになり休息を取れることが分かったので、それを明日に回してじっくり眠ることにしました。

 

3. 次回予告

道民さえも避ける賭けに大勝利し、無事当日中に旭川に到着した相生あおは。突然の旅程変更で疲労が貯まり、一日を休息に充てようとするも旅先テンションで思いもよらぬ奇行に出てしまう…

次回!相生あおは死す!!デュエルスタンバイ!!!