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【冬の北海道】豪雪旅行記 Part4

※この記事は オモゐデ漁船アドベントカレンダー2021 16日目の記事です

 

こんにちは。相生あおはです。引き続き、豪雪旅行記となります。

 

~おしながき~

Part1: 仙台を離れ北海道に上陸

Part2: 豪雪でまさかの旅程崩壊

Part3: 秘境駅その1~東六線駅 探訪+α~

Part4: 秘境駅その2~北星駅 探訪+α~  ←イマココ

Part5: 災害級の豪雪が過ぎて

 

まず本記事の目次を載せておきます。お好きなところ(?)からどうぞ。

 

0. 前回のあらすじ

1つ目の秘境駅、東六線駅からの雪道を無事に乗り越えた相生あおは。次はフォロワーさんから教えてもらった秘境駅に向かうことに。氏の印象に残ったというそこに広がっていた世界とは…

 

1. 2/26 秘境駅に向けて旭川を出発

身支度を終え、起床したよツイートをする。猫なので。

旅先で寝坊したことが一度も無いのは少し誇らしいです。なんなら私のミスによる旅程崩壊も皆無です。でもそのくらいの危機感ありきの旅だと私は思うんです。ましてや人為的ミスによる旅程崩壊をネタにして楽しむのは如何なものなんでしょうか。

 

今日はまだ日が出る前の出発です。目覚める少し前の街を歩くのは、まるで世界を先取りしているような特別感があって好きです。

しかしこの時の気温は-13℃また髪の毛が凍りました。瞬間冷凍じゃないのでタンパク質は変性し放題。寒冷地の美容室はさぞ儲かっていることでしょう。

 

駅も利用客は私だけでした。もともと早朝という時間帯が好きなのもあり、時計が6時前を指していることに謎の満足感を覚えます。6:03発の稚内行きで二つ目の秘境駅北星駅を目指します。

依然として札幌方面は全滅です。しかし昨晩に本日中に復旧する旨を聞いていましたので、試しに検索したところ。

女神が微笑みました。安堵のあまり思わず顔がほころびました。こうなれば当初の予定を実行できたのですが。

私の中の安全装置が流石に作動しました。いつか行きたいな。できれば冬に。

 

安心したところで、早速ホームに向かいましょう。

仙台駅もこのくらいオシャレにしてほしいものです。

 

ここで、昨日からお世話になっている宗谷本線について少し。この路線はここ道央は旭川から最北の都市稚内までを結んでいる路線です。深刻な赤字路線で運転本数が少ないことで有名ですが、旭川から途中の名寄というところまではまぁまぁ走ってます。

しかし今日行く北星駅はそこを超えた魔境にあります。どのくらいかというと日帰りで大都市に行くのが困難なレベル。なので、名寄までとのギャップも楽しんでいこうと思います。

 

旭川を発つと、車窓は都市部から徐々に郊外へと様子を変えてゆきます。暫くすると昨日同様、白銀の世界が広がります。ただし今日はまだ日の出前。本当に寒そうです。

本当に寒そうです。改めて「とんでもないとこ来ちゃったな」と思いました。濡らしたタオルを振り回したら一瞬で凍ったりするのでしょうか。

 

しばらくすると徐々に通学中っぽい学生たちが乗ってきます。時刻も6時を少し回った辺り。高校時代を思い出し懐かしい気持ちになります。程なくすると東の空が紅く染まってきました。

本当に素敵な光景でした。銀世界と紅い日差しのコンビは寒と暖の対比が美しい。思わず見とれていました。

 

更に時間が進み、時刻は7:30。車内は学生でいっぱいになります。今まで横に置いていたリュックを膝の上に移動させます。するとある一人の高校生っぽそうな人が隣に座ってきたんですが、なんとその人はさくらさく古文単語を必死に見てたんですよ。赤シートで隠しながら。

私も実際に高校時代に使ってました。ただ文系科目は捨ててたのでロクに見てませんでしたがそれでも思い入れがあります。それにしても本当に必死に見ていました。テストシーズンとかなら他の人も見てると思うので、きっと受験生でしょう(勝手な決めつけ)。今日は2月26日。医学部とかを除く多くの大学では二次試験が終わり、高二の代に受験生のバトンを受け渡す日です。勝手に感情移入してしまい、心の中でエールを送っていました。

 

程なくすると高校生たちは途中の駅で続々と降りてゆきます。気づいたら名寄です。すると車内放送ですごいことを聞きました。

名寄までは3両だったんですが、ここからの魔境は1両のみで運転するそうです。「宗谷本線は名寄まででいいよ」といわれる所以が分かってしまいました。

両数も乗客数も身軽になってしまった列車、いや列を成してないから車?、は終着の稚内を目指し進みます。私の目的地、北星駅はもうすぐです。

 

2. 2/26 秘境駅その2 北星駅探訪

私が降りたそこは、時の流れが感じられないほどの静寂に包まれた異世界でした。

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私を降ろした列車は先へと急ぐ

実はこの写真、補正で明るくしています。当日は曇天でしたが、列車から降りた途端の雪の照り返しによるあまりの明るさで、暗い写真になってしまってました。まじで"アルベド"って感じ。光度的にはまるで晴天のように感じました。

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辺りは静寂に包まれる

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ホームから待合室の方向を望む

「来て本当に良かった」と降りた瞬間から思いました。マニアの間でも人気らしく、自家用車でいらしてる方が何人か。確かに、この大自然の中に人工物がやってくる様は良い画になりそうです。

 

さて、折り返しの列車が来るまで30分程。恐らく一生に一回きりのチャンスですので、周辺を思う存分散策しましょう。今回は隣駅まで歩いたら本数が多いなんてことはありません。ここは元から本数が少ない魔境なのです。

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5時間半も列車が来ない時間帯がある (特急通過はある)

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駅前通

コトコト…という鳴き声だけが唯一の音です。音屋的に言うと-20dBくらいでしょうか。私はヤマゲラシジュウカラしか知らないのでわかりませんでした。

皆さんは駅が目当てらしく、散策してるのは私だけでした。勿体ない。少し離れると本当に物音がせず、さながら天然の防音室です。本当に-infdB。雪の吸音効果って本当にすごいと再認識しました。この季節が秘境感を十二分に引き立ててくれています。これは苦労して冬に来て本当に良かった

 

しかし何か妙です。まるで出雲市駅から初めて出た時の様な、身の引き締まる感覚がしました。先を進んでみましょう。昨日、東六線駅に行った時の様な「やっべ~~~www」感は皆無です。

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深い雪に閉ざされた八幡様

八幡様がいらっしゃいました。猫の野生の勘って恐ろしい。もちろん大自然に囲まれているという要因もあるのでしょうが、辺りはとても神聖な雰囲気が流れているように感じました。境内には到底たどり着けませんが、外からお参りしました。

 

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付近に唯一あった民家

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小川のささやき

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終わりなき雪道

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大自然の中にたたずむ待合室

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秘境駅名物 駅ノート

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ファン愛

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雪化粧をした板張りホームは独特の足音がした

ホームの上だけはしっかりと除雪が行き届いています。毎日作業された方、本当に、本当に大変だったと思います。お疲れ様でした。

じっくりと散策。お気に入りの雰囲気で再度来たいと思いましたが、列車ではもう来れません。悔いの無いよう思う存分に味わいました。

もう二度と来れないか…と思うじゃん?実はこの記事の公開日の前日である12月15日に、廃止になってない隣駅から歩いてわざわざ八幡様にお参りに来ちゃったんだなこれが。まさかの再訪。不思議な力ってあるんでしょうか。

程なくすると旭川方面に戻る列車が来ます。その列車で終着の名寄まで向かいました。

 

3. 2/26 名寄市街地散策

北星駅から名寄駅までは10分程度。少しずつ文明の気配が感じられてきます。

なんとこの雪下ろし、ピンポイントで今日の施行でした。本当にツイている。

降りたホームに時刻表がありました。本数が多い旭川方面と反対の稚内方面を見比べるのにはもってこいでしょう。

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名寄駅時刻表

旭川方面が多く見えてしまいますがそれは錯覚です。下手な路線バスより本数少ないですよ、しっかりしてください。

 

名寄でまず地味に感動したのは跨線橋の窓ガラス。霜が張り付いたそれはさながらステンドグラスです。この記事が公開される頃(12月中旬)にも北海道にいるんですが、ステンドグラスは見られませんでした。厳冬期のみなんでしょうか。儚い美しさ、素敵だと思います。

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霜のステンドグラス

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跨線橋から稚内方面を望む

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22℃設定の待合室は本当に暖かかった

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"臨時"の存在でダイヤが正常でないことを思い出す

このまま旭川に戻るのは勿体ないと思い、9:56発の稚内行きの特急で稚内に行ってみることに。折角なら最北の街に訪れたかった。それまで市内散策といきましょう。

 

まず私の目に飛び込んできたのは衝撃的な光景でした。

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跳び箱

積雪量が旭川の比じゃありません。大昔の人の開拓者精神には恐れ入った。

今回の旅で3回目の髪先凍結です。傷むので勘弁してほしいけど為す術はない。

 

少し散策してみると結構栄えているなという印象でした。神奈川生まれの私でも、永住は難しくても数か月なら普通に生活できそうです。

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スーパーは営業時間前で閉まってた

 

しばらく歩いていると、突然ズカンと頭の左半分を撃ち抜かれたかのような頭痛に襲われました。それは最悪死に至るヒートショックかもしれないということをフォロワーさんから聞いて突然怖くなりました。感覚が麻痺していましたがここは氷点下10℃の世界。下手したら命を落とす環境ということを知りました。前言撤回、私はここに住めないかもしれない

 

そろそろ戻らないと列車に間に合わないので、途中通る商店街もじっくりと堪能しながら駅に引き帰します。

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ゾッとするサイズの氷柱

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廃ビルも散見された

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駅前通りの除雪はしっかりされているが左右の安全確認が怖かった

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北海道ならではのラインナップ

駅前のホームセンターの風除室にある売り場にジンギスカン用のプレートと木炭が売ってたのは本当に面白かった。隣にあった交流プラザにも寄ったんですが、入り口にサーキュレータがあって本当に寒かった。

そんなことしていたら列車の時間が近づいてきます。ホームに向かいましょう。

 

4. 2/26 稚内タッチダウン

別にサンプルリターンしに行ったわけじゃないです。

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名寄駅

少し遅れて来た特急に乗り、最北の街、稚内を目指します。目的は「なんとなく

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途中の美深駅ホームにあった除雪車雪像

しばらくすると宗谷本線は日本で4番目に長い天塩川と並走します。

晴れてる時の除雪されたホーム、良いですよね。背後にうず高い雪の壁があるのも。実はこの記事が公開された2021年12月16日はここ音威子府に泊まっていました。ワロね。

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待合室がまさかの物置 糠南駅

この駅にも12月16日の朝に行ってきました。その時の記事はいつ書くことになるかな…

 

度々列車は急ブレーキを掛けたり、警笛を鳴らしたりするんですね。

北海道に行き慣れてる方なら絶対通じる「この先 エゾシカなどの野生動物が多数出没する区間を走行いたします」を初めて経験しました。

 

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結氷し積雪した天塩川

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本来行く予定だった安牛駅

 

天塩川と別れると、線路左側を遮る山地は無くなります。

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豊富と書いてトヨトミと読む

ここ豊富駅は2021年の8月下旬に行きました。サロベツ原野をレンタル電動自転車で駆けてきました。その記事もいつ書くことになるかな…てか2021年だけでも3回は渡道してるわ。北の大地が私を呼んでいるのじゃ…

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利尻富士を知らせる石碑

人工物ではなく、天然の地形を見たら初めて北海道の地図と現在地が脳内にハッキリと描画されました。最果ての地に来た感動でいっぱいでした。どんな人工物であっても、自然物の感動には敵わないと思いました。

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日本海を一望 遠くに見えるは礼文島 (抜海-南稚内間)

 

途中、エゾシカで急ブレーキ掛かったりしたものの、無事稚内に到着。

最北の街に足を下ろせました。稚内にはこの年の夏に3泊してるので、ここに関することは後の記事に回します。

 

稚内タッチダウンに成功したので、旭川に戻ります。

それにしても、本当に雪深いです。

 

特急は、今回行った秘境駅はもちろん、たくさんの無人駅を知らぬうちに通過して行きます。GPSを有効にしたマップと睨めっこするか、車窓を凝視していないとその存在にすら気づけません。また車窓にも、進行方向どっちに出現するかは調べないと分かりません。速達性には代えられませんが、実際に秘境駅に足を下ろした身としては少し寂しい気持ちもありました。

車端部のドア上のテロップに、次駅までの距離が出てくるんですが、「音威子府まで あと20km」という表示が出ても何も驚かなくなってしまいました。順応ってすごいですね。

 

しかし完全には順応は出来てなかったようです。名寄で襲ってきた頭痛だけでなく、身体の違和感が徐々に出てきます。

本当に目の奥がこの辺りからずっと痛むようになります。やっぱり私は雪国では生活できないかもしれません。

 

程なくして特急は終着の旭川に到着します。ふと乗ってた列車を撮ったんですがすっごい疲弊したように見えました。それもそのはず、稚内から旭川までは東京から郡山くらいの距離があります

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疲れ顔の特急サロベツ 向こうに見えるはなんと網走行き

豪雪被害で今朝まで現れなかった"札幌"という文字に安堵する反面、帰りが現実味を帯びて寂しくなる気持ちもあり、複雑でした。

少し秘境駅を巡っただけというのに感覚が変わってしまい、ここ旭川がとんでもない大都会に思えます。仮にこの時の私に自分の地元を見せたらひっくり返るでしょう。

 

さて、この時の私はキャットフードでもマジで食べられるくらいのハイパー腹ペコにゃんこセカンドシーズン開幕だったので、餌を求めにそのまま旭川駅前のイオンモールに行きました。

 

5. 2/26 旭川に帰還 念願の幌加内蕎麦を頂く

旭川駅前のイオンモールはなんと駅直結です。そしてその規模は結構な大きさです。かなりの都会に見えます。が、"イオン化傾向"を考えるとここ旭川も田舎という扱いになりますが…

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右手にある巨大ビルがイオンモール (翌日撮影)

こういう大型商業施設内はチェーン店しかないと思いながらも、この日のご飯は行きの列車内のおにぎりのみだったため、とりあえず何か食べないと倒れそうだったので何も考えずにフードコートへ。

手あたり次第に出店するの、牛タンのプレミア感が減るので正直私は好きじゃないです。気を少し落としながら歩いていると、私の目に飛び込んできたものがありました。

幌加内蕎麦!私が今回秘境駅に行くきっかけとなった推しYoutuberさんが紹介してらしたのを思い出し、大喜びで入店しました。念願というのもあり、プチ冒険した帰りというのもあり、あと素材が実際に本当に美味しかったのもあり、身に染みる感動でした。

 

気づいたら時刻は18時前。実はこの日、私の所属する音ゲーサークル"とんえぼ"の定例会がその18時からだったんです。この時はオンラインだったので急いで宿に戻りパソコンを立ち上げます。

自己紹介サークルとんえぼ。無事間に合いましたとさ。

 

6. 次回予告

2つ目の秘境駅、北星駅周辺の壮大な世界に感動した相生あおは。次第に北の大地へ順応した気になるも、髪先の幾度とない凍結や頭痛、雪焼けによる目の痛み、更には加減を知らない雪落としで足の爪が割れてしまう。満身創痍な身体で迎える最終行程や如何に!

次回!相生あおは死す!!デュエルスタンバイ!!!