※この記事は オモゐデ漁船アドベントカレンダー2022 16日目の記事です
こんにちは。相生あおはです。引き続き、夏の北海道滞在記を書きます。
~おしながき~
Part2: 北の大地を自転車で疾走 (目玉回) ←イマココ
本記事の目次はこちら。
- 1. 8/26 いざ疾走の現場へ
- 2. 北の大地をいざ疾走
- 3. サロベツ湿原センター(実質寄っただけ…)
- 4. 稚咲内地区
- 5. オロロンラインをひた走る
- 6. ブリザードシェルターと北緯45度モニュメント
- 7. オトンルイ風力発電所
- 8. 幌延ビジターセンター
- 9. サロベツ地区の牧場
- 10. 豊富駅への帰路
- 11. 稚内にチェックイン
- 12. 次回予告
1. 8/26 いざ疾走の現場へ
本日の行程は以下の通り。
札幌駅→(特急で4時間半)→豊富駅→(自転車で50km疾走)→豊富駅→(特急で40分)→稚内(泊)
さらっと"自転車で50km疾走"と書いてますが、こ~れが想像以上に過酷すぎた。
まずは起きましょう。
北海道だけ冷えてるの草 pic.twitter.com/wXMLAf1ytW
— 相生あおは@長町の人 (@semicolon0103) 2021年8月25日
まだ8月下旬で残暑があるはずなのに、北海道だけ一足早い秋の気配。身支度を終えて駅に向かいます。
画があまりに良い
— 相生あおは@長町の人 (@semicolon0103) 2021年8月25日
これから乗る奥に停まってるのはなんと製造費総額20億円の超高額列車、らしい#相生あおは北海道の旅2021夏の陣 pic.twitter.com/B58Oh2HLEl
偶然にも観光用列車が充てられてました。ラウンジ車両もテレワークも可能な多目的スペースもあります。ちなみにその多目的スペースでは、3ヵ月後に再び北海道に来た時に修論を書いてました。この列車で修論を書いたのは私以外にいるんでしょうか。
列車は札幌を出発。ひたすらに北上していきます。
うわっ北海道に水田だ、違和感すごい
— 相生あおは@長町の人 (@semicolon0103) 2021年8月25日
うちで食べてる米は北海道産だからここで育てられたものもぼくの食卓に並んでたりするんだろうか#相生あおは北海道の旅2021夏の陣 pic.twitter.com/ZbKbkiJ6qT
北海道は寒いので米が育たない、というのが一昔前の常識でした。みなさんも、北海道と言えば水田より畑や酪農の印象が強いと思いますが、品種改良とか温暖化とかのお陰で稲作の北限地が上がった現在、水田も見ることができます。
かの有名な"ゆめぴりか"は、この沿線の奈井江(ないえ)町発祥だそうです。
列車はさらに北上し、旭川を過ぎると一気に景色が山奥になります。下車する豊富駅はあと3時間。ひたすらに雨雲レーダーと睨めっこしていますが、どうやら現地は霧雨の模様。最悪すぎる。ただ、今回を逃すと次いつできるか分からんので、雨天の中をひた走る覚悟をしました。この時点でまず過酷ポイント。
みんな大好き音威子府を過ぎ、天塩中川を過ぎれば豊富駅はすぐ。案の定、霧雨状態。意を決して下車します。
2. 北の大地をいざ疾走
降りました。マジで降りました。ホームから去っていくピカピカの特急を寂しい気持ちで見送りました。もう引き下がれません。
跨線橋からこの景色を眺めた時、流石に心細くなりました。若干霧かかってるのがポイント高い。しかし進むのみ。これから50kmをレンタサイクル(電動)で漕ぎます。
なお、ここからは本気で漕いでいたので、ツイートが一切途切れます。なので画像でお送りします。
豊富駅観光情報センターで借りれるんですが、受付の人に「本当に行くんですか?」とマジな顔で心配されました。雨で髪がぐしゃぐしゃになるのもそうですが、外見が猫なせいか、行先を伝えるとあまりの遠さに凄い顔をされました。失踪を心配されたんかな…見た目に反して持久走と短距離走は平均的な運動部並なので、力尽きる心配はありません。が伝わるはずがない。ご心配お掛けしてしまいすみませんでした…
それでは早速、雨天の中の50kmサイクリングを始めましょう。現在時刻は12時12分。タイムリミットは次の稚内行の列車が来る16時43分。制限時間は4時間半。漕ぐだけでなく、様々観光するので、時間との勝負です。それでは\ファイッ!!!/
まずは、サロベツ湿原センターを目指します。
ガチ雨やん。こんな道を50kmこれから漕ぐんか私は???周囲に人はおらず猫すらいなかったので、ぶつぶつと「やーばwww」と笑いながら漕ぎ進めていきます。
21分後、豊富町の郊外に出ます。あいにくの天気とはいえ、ザ・北海道な景色に囲まれた私はテンションが一気に上がります。先を急ぎましょう。
3. サロベツ湿原センター(実質寄っただけ…)
36分後、サロベツ湿原センターに到着。行きたかったポイントその1。ここが湿原なのは、結構最近まで海底だったこの地に天塩川からの堆積物が流入したためらしいです。さらに気温が低いため、一帯は泥炭地となってるそうな。さらに資料を見たかったんですが、もうこの時点で霧雨でズタボロ。思考があまり回っていなかったのが後悔。また、長居すると後の行程が狂う可能性があったため、泣く泣く離脱。この地で取れる泥炭が防毒マスクの吸着剤に使われてたってことだけは覚えました。また来なきゃ…
38分後の12時50分。サロベツ湿原センターを出ると、民家や農場、防風林が突如として姿を消しました。霧雨が漂い、無音に近い環境。当然、周囲には誰もいない。世界が滅んだのかと錯覚するほど。
山地が無く、地平線に原野が消えてゆく光景。遮るものが本当に一切無い。吸い込まれそうな恐怖すら覚える、雄大な北の大地でした。少し足を休め、景色と一体化していました。
体力を少し回復したので、先に進みましょう。
北海道は風力発電設備の遭遇率が非常に高いです。集落から離れると住民がマジで0人なので、騒音被害を気にせず運用できるからなんでしょう。また、そういったエリアは風が強かった記憶があります。なら設置したもん勝ちでしょう。
仙台だと、鹿とか、狸の動物注意は見かけるんですが、乳牛は初めて見ました。でも乳牛が完全に放牧されているところは見たこと無い(大抵は簡単な柵で囲ってある)ので、これは半分ネタでしょう。次の目的地、稚咲内地区まではあと少しです。
4. 稚咲内地区
出発から1時間、13時12分。稚咲内(わかさかない)地区にある稚咲内神社に到着。旅先ではなんとなく神社巡りをする趣味があるので、なんとなく立ち寄りました。ここら辺では牧畜が盛んなためか、興味深いことに境内には家畜たちを祭る碑がありました。私はこれからの旅の安全を祈り、稚咲内地区中心部を後にします。
あと、そういえば霧雨が上がり、普通の曇天に戻ってきました。ご加護でしょうか。この勢いでどんどん先に行きましょう。
稚咲内地区中心部は若干高台になっており、そこからの下り坂に差し掛かると、ぱーーっと一気に視界が開け、日本海が現れました。高台から見下ろす形なので、文句なしの良好な視界。脳内で効果音が鳴るレベル。海岸段丘かな?とか考える間もなく反射的に自転車を停めてました。今まで原野を見ていたので、ようやく現れた海に感動していました。
稚咲内地区中心部から少し離れたところにある漁港も、せっかくなので立ち寄りました。時期が外れてるからか、近くでなんかの工事をしている重機の音が印象的でした。あと転落注意の看板に、車を釣ってる絵が描いてあるのがシュール。
さて、次の目的地はオトンルイ風力発電所です。正直、ここからが超長いです。ひたすらにひた走ります。
5. オロロンラインをひた走る
遮るものが徐々に無くなっていきます。これが通称"オロロンライン"。北海道通の方なら全員知ってる、シンボルとも言える道です。
漕ぎ始めてから1時間11分後、ついにオロロンラインに合流しました。1分ほど前に爆速で私を追い抜いて行ったトラックが今でも見えます。本当に遮るものがありません。こんな道が稚内から小樽まで380kmほど続きます。こんな道は日本には北海道にしかありません。ライダーさんには超人気らしいです。
漕ぎ始めてから1時間29分、オロロンラインに入ってから19分。ついに豊富町から、オトンルイ風力所がある幌延町に入りました。
某所の通話で見せたら「映画のエンドロールみたい」と言われた画像。わかる。
ところで、この辺りで既に次の目的地であるオトンルイ風力発電所の風車が見えてるんですね。
見えたからもうすぐって思うじゃん?違うんだな~見通しがいいからまだ6kmもあるんだな~~(吐血)目的地が見えてるのにいくら漕げど着かん。北海道の広大さを一番体感出来た瞬間でした。
6. ブリザードシェルターと北緯45度モニュメント
もう風車のことしか考えずに漕いでいたら、突如シェルターが。冬季の地吹雪時の緊急避難所に使われるそうです。確かに、この辺りは本当に遮るものが無いので、冬季は命の危険がありそう。
ところでこのシェルター、よく見るとエネルギー供給源がありません。元から高度な機能がありません故、地吹雪で機能を失う心配がありません。よってメンテナンスも最低限で済みます。明かりに関しても、日中は自然光を取り入れているので走行に支障ありませんし、夜は周囲がそもそも真っ暗なので無照明でも問題なし。緊急時の設備として上手く考えられてるな~って思いました。
そして北緯45度通過モニュメントも現れました。風車より近くにあるはずの建築物が急に現れるもんで、本当に面白かったです。
風車にはいつ着くのか、半ば思考停止になりながらオロロンラインを進みます。後ろから凄い勢いで追い抜いていく工事車両の安全確認で脳のリソース食い潰されていました。
7. オトンルイ風力発電所
漕ぎ始めてから2時間8分、オロロンラインに入ってから実に58分。ついにオトンルイ風力発電所に到着。近くの橋のプレートによれば、オトンルイには"音類"という当て字があるそうです。手前の電線がアレですが、なんか私有地っぽかったのでここからの撮影にしました。
無限に広がる大自然に、ポツンと人工物。人間がいくら頑張っても自然に敵わない、人間の非力さを無情に突き付けられるような、こういう構図が大好きなんです。当時工学研究科の学生だったとは思えない発言。けなげに回る風車たちを眺め、いろんなことを考えてました。
さて、周囲に目をやりましょう。ひときわ目を引く綺麗なマゼンタ色の花が咲いています。
海辺で咲く、はまなす。なんと耐塩性があります、つよい。北海道を代表とするような花ですが、どうやら青森県でも咲いてるらしい。なんだよ。ちなみに今朝乗って来たピンク色の特急はこの花の色に由来するそうな。奥の方に実が成ってたので、法令等を確認したうえ大丈夫そうだったので、種を手に入れる目的で採取してみました。乾燥させたら植木鉢に植えてみます(現在も乾燥中という名の放置…土いじりは準備が大変…)。
すぐ横に目をやると、
縦長画像で恐縮ですが、あの柵は可動式で、畳まれるとこうなるっぽい。初めて見た。
視界を左にパンすれば、サロベツ原野の向こうに広がる日本海。日本海はあまり人生で見たこと無いので、休憩も兼ねてのんびり眺めていました。
すると、工事車両が私の近くで停まりました。誘拐されるのかとゾッとしましたがそんなことは無く、窓を開けて話しかけてきました。
運転手「どこから来たの?」私「豊富駅からです」運転手「ずっと漕いできたの(凄い顔)」私「まぁ電動ですから」運転手「今日はどこ泊まるの」私「稚内です」運転手「汽車(宗谷本線のこと)で?」私「ですね」運転手「そうなんだ、なんか無線でみんな話してて」私「!、すみませんお騒がせしてしまい」運転手「こっちこそ急にごめんね、楽しんで!」
マジですみませんでした、、、
さて、出発から2時間強が経ってます。制限時間がちょうど半分くらい過ぎたあたりです。いいペースで来ています。幌延ビジターセンターに寄って、豊富駅に戻りましょう。ちなみに看板によれば、稚咲内地区からでも11kmは走ったそうです。疲れるのでもう何も考えないことにした。次に目指すは幌延ビジターセンター。
8. 幌延ビジターセンター
豊富駅出発から2時間43分、幌延ビジターセンター着です。思ったより好ペースだったうえ、雨が上がってしばらく経って復活したので、ゆっくり展示を見て回りました。内容としてはサロベツ湿原センターとほぼ同じでしたが、復習する感じでより理解が深まりました。本物のボーリング試料があったり、動植物の説明が詳しかった記憶。民俗的なことはサロベツ湿原センターの方が詳しかったかな?
近くに展望塔がありましたが、想定外の所で体力を使うと何があるか分からないのでセーブしました。また来たい…
9. サロベツ地区の牧場
幌延ビジターセンターから17分、豊富駅出発から3時間、突然牧畜地帯に入りました。恐らく、セイコーマートで売っている牛乳を産生している牛さん達でしょう。
間近で牛さんを眺めるのは初めての経験だったので、しばらく眺めていました。牛さんって、本当にマイクラみたいに「ンモ~」って鳴くんですね。
2分くらい眺め、片手ハンドルで牛さんに手を振りながら出発しようと自転車を漕ぎ始めると、一斉に牛さん達が鳴き始めるんですよ。まるで「まだ行かないで」と言ってるようでした。一気に謎の寂しさがこみ上げてきます。が、もう出発しないと特急に間に合わず野宿になってしまいます。後ろ髪を引かれる思いでしたが、豊富駅に向け出発しました。以降、北海道に来るたびに凄まじい量の牛乳をセイコーマートで買って飲んでるんですが、きっとそれはこの時の思い出によるものでしょう。いつも美味しい牛乳をありがとう。
稚内に着いたら牛乳を早速飲もう、そう思いながら帰路を急ぎます。
周囲は原野ではなく一気に農場に姿を変えます。ここら辺では広域農道という、農水省管轄の道路がよく見られます。だから何だって話なんですけど。ここまで、原野→海岸→農場と景色が変わっていってます。今回のルートは景色の変化に富んでてとても楽しかったです。
ここまで40km以上漕いでいますが、そんなに疲れてても🐈は絶対に見逃しません。猫なので。豊富駅への帰路でもう一匹見つけました。二匹とも黒猫ちゃんでした。にゃー
10. 豊富駅への帰路
さて、ここからは一気に画像紹介というかたちで。
というわけで、事故ることも力尽きることも無く、無事に豊富駅まで戻ってきました。タイムは4時間10分、走破距離は52kmでした。なんと列車が来る20分前に戻れました。計画性の塊(?)
ものすごく時間ピッタリな行程、天候以外は100点満点な自転車旅でした。心の底からめっさ楽しかったと言える行程でしたが、しばらくはやりたくないかな…
11. 稚内にチェックイン
稚内に行く列車は16時43分発だったんですけど、20分弱遅れてきました。宗谷本線で遅れは日常茶飯事ではあるんですけど、満身創痍の所にまた霧雨が降ってきました。もうライフはゼロ。右手に提げたセコマの袋の中にいる食料たちが、私に食されるのを今か今かと待っている。そんなもどかしい時間でした。
そして17時過ぎ。霧雨の中を眩いライトで照らしながら、稚内行の特急が到着。実質今日の宿。
車掌「ただ今シカが多く出没しているため急ブレーキを使うことがあります、ご了承ください」
— 相生あおは@長町の人 (@semicolon0103) 2021年8月26日
ぼく「仕方ないなぁ、シカだけに!w」
列車に乗るとすぐこんな放送が入りました。遅延の大抵の理由は鹿。食べちゃうぞ。
かくかくしかじか、今日の宿の稚内に到着
— 相生あおは@長町の人 (@semicolon0103) 2021年8月26日
着いた時に「また来ちゃったよ稚内、おっかないな」っていっちゃったから多分相当疲れてる#相生あおは北海道の旅2021 pic.twitter.com/QiWvLPY0Ew
タグをミスってる("夏の陣"が無い)し、本当に疲れてたんだなぁと今見返して思います。座ってるだけで豊富から40km先の稚内に到着。文明の利器って凄い(てのひらクル~)。
放牧されてる牛さんを眺めたり撮ったりしてたんだけど、周りに誰も居ないのをいいことに「またね〜」とか言って手を振ってチャリを走らせたら数頭が急に鳴き出したのが特に強烈に印象的だった
— 相生あおは@長町の人 (@semicolon0103) 2021年8月26日
だから買っちゃった、美味しい
さっき原義の生産者(牛?)見てきたばかりだからより美味しい pic.twitter.com/x2IB43YLNh
早速、さっき見てきた牛さんの牛乳を飲みます。本当に美味しい。さっきの思い出補正で10倍美味しい。
稚内にはWACCA無いよ!!!!稚内だけにな!!!!!!!!
— 相生あおは@長町の人 (@semicolon0103) 2021年8月26日
稚内から連想されるダジャレ、「わっかんない(分かんない)」と「おっかない」、「WACCA無い」以外ないかなぁとか言おうとしたけど3つある時点でまずおかしいか
— 相生あおは@長町の人 (@semicolon0103) 2021年8月26日
これがきっかけで私のTLで一気にダジャレ大喜利大会が始まりました、ごめんて、、、
「稚内はフロアが湧っかない」「ヘキスト・ワッカナーイ反応」辺りが個人的優勝候補でしたね。
そして宿にチェックインし、
嗚呼…禁断症状出て旅先ノパソマイクラという禁忌を犯して霜歌… pic.twitter.com/YMJ0lU3M1q
— 相生あおは@長町の人 (@semicolon0103) 2021年8月26日
なにしてんだこいつ。
ということで無事本日の行程を無事完遂しました。
12. 次回予告
霧雨の中50kmを走破した相生あおは。列車に乗り遅れることなく無事宿にチェックインをするも、明日はなんと研究室のオンライン研究報告会!教授にはもちろん、ラボの人には渡道は言っておらず、バレたらきっと大目玉!はたして私の命運やいかに!
次回!相生あおは死す!!デュエルスタンバイ!!!